宗派ごとの本式数珠は、玉数や房に違いが…自分の宗派を知る手がかりは?

数珠を持つ手

宗派ごとの正式な数珠は本式数珠と呼び、少しずつデザインが違います。共通しているのは、特に男性用では、玉が108あるのが主流であることです。玉には房がついていてそのデザインも宗派ごとに違います。こうしたことが数珠の値段にもかかわり、本式数珠の方が略式よりは高めになります。

本式数珠は、房や玉数などにいろいろ工夫が

最澄が9世紀、比叡山延暦寺に天台宗を開いたのが、日本の本格的な仏教宗派の最初とされていますが、いくつも宗派があります。宗派によって本式数珠の形にも違いがあり、時代の推移によって少しずつ変化してきています。

宗派が違えば、数珠も違いがあるのが通例です

日蓮宗の正式数珠は、玉は108あります。四国八十八ケ箇所巡りで知られるお遍路さんの数珠でも知られる真言宗の数珠と似ていますが、房が5つあるのが特徴です。日蓮宗も細かくいえばさらに多くに分かれ、中には房を白色に限定する数珠もあります。八の字にねじってかけるのが通例です。

浄土真宗には、浄土真宗本願寺派と真宗大谷派があります。数珠の玉は、共に男性の場合、108の約数27でした。現在は22を標準に20、18もあります。玉数の少ないほど大玉になります。女性は蓮如結びと呼ぶ二連数珠が特徴で、玉は108あるいは86もあります。

浄土宗はふたつの輪がつながった数珠で銀の輪が付いているものもあります。男性用と女性用は同じ形で、大きさは男性9寸、女性8寸が一般的です。

真言宗は「振り分け数珠」とも呼ばれ、108の玉から連なる房の形状に特徴があります。長い一連の数珠を二重にして使うことから振り分けと呼ぶのです。男女用で大きさが違いますが、お遍路数珠は、男女ともに同じ大きさです。

禅宗の曹洞宗と臨済宗は、玉が108個で、基本同じ形ですが曹洞宗は銀の輪が付いている違いがあります。房の形が、男性用(ひも)、女性用(頭付き)と違います。なお、他の宗派の人でも、座禅修行をする際には、禅宗の数珠を持つ人が多いです。

天台宗では男女ともに玉は108あります。玉は、独自の扁平な平玉が特徴です。これはもともと念仏の回数を数えるためだからです。男性と女性とで違うのは、数珠の大きさです。男性は9寸、女性は8寸です。

ご自分の先祖が何宗か、を調べる手立ては何かある?

本式数珠を決めるためには、両親の、あるいは先祖代々の宗派を知らなければなりません。案外、知らない人が多いのです。その場合、親戚に聞く、法要で世話になってきた菩提寺に聞く、それでも分からない場合は、親のお墓に参拝する方法があります。

お墓のある寺院が属している宗派にするのがわかりやすいのですが、公営墓地だと宗派はわかりにくいので、墓の中心となる石(竿石と呼び、正面に「○○家之墓」と刻まれている石)を見れば、宗派を示す文言が入ることが多く、それを参考にするのです。

戒名や、石に書かれた文字から探る方法があります

例えば、戒名です。浄土真宗だと戒名でなく法名と呼びますが「釋」あるいは「釋尼」ですし、浄土宗は「誉」が入り、日蓮宗だと「日」が入ります。また、竿石正面に梵字で「ア」(大日如来を示す)が入っていれば真言宗か天台宗、「キリーク」(阿弥陀如来を示す)なら浄土宗か天台宗です。また正面に「南無大師遍照金剛」が刻まれていればこの大師は、空海のことなので真言宗と確定できます。素人判断はせずに墓所の事務所に聞くなり、数珠を買おうとするお店で相談してみましょう。

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