皆さんは数珠を持っていますか?
亡くなった人をしのび、お葬式に参列した時や、仏さまに礼拝する時、数珠を手にかけてお参りをしたことがあれば、なじんだ道具になっているといえるでしょう。
もし、まだ無いのであれば、この際、男性も女性も大人のたしなみとして持つようにしましょう。
子供が少なく長生きも進む少子長命化のこれからは、高齢者が亡くなっていく時代。数珠を持つのはマナーの時代となります。
数珠は仏教の道具、仏具の一つです
日本は、不思議の国です。
年始には神社に参拝するかと思えば、結婚式を神式で営む人は少なく、神父さんや牧師さんの前で愛を誓い、クリスマスパーティは公立の学校でもおこなうことが多い一方で、キリスト教の普及は進んでいません。
お釈迦さまの誕生日である花祭り(4月8日)は祝わないけれど、人が亡くなった際の葬儀は圧倒的に仏式です
。宗教と日本人の関係は「よくワカラナイ」と海外の人からは言われますが、まちがいなく、先祖に対する崇拝とか、自然に対するおそれの感覚は、日本人に広くいきわたっているようです。
もともとお経を勉強する時の道具です
その中で、数珠は、仏教の道具、仏具の中では最も身近な存在といえます。
もとは念珠、寿珠などとも書きました。
これは仏教の経典、お経を読むときにその回数を数える道具でもあったからです。
仏教はインド発、中国経由で日本に伝わってきた宗教ですが、お経は、中国の言葉でもあった漢字で書かれています。
お坊さんは、お経を理解し、それを広めるために何回も読んで覚えるのです。
同じリズムで読んだり、節をつけたり、あるいは、転読といってルールを決めて飛ばし読みしたりします。
その回数を忘れないために記録する役割が数珠だったのです。それが現代になり仏式のお葬式や法要に欠かせないものとなり、一方でお守りや、厄除けの役割も担うようになっています。
他の宗教にも、類似のものがあります。
例えば、キリスト教のカトリックではロザリオです。聖母マリアに祈るときに使います。
ラテン語の「バラの冠」から来た言葉ともいわれ、カトリックから見れば、数珠は「仏教徒のロザリオ」という呼び方をすることもあります。
意外と多い数珠を使う機会
数珠は、日常生活と縁がないようで、意外と持つ機会は多いのです。
お葬式はその典型ですが、春秋のお彼岸のお墓参り、物故社員や先覚者社員追悼会をする企業も会社の規模にかかわらずあります。
お守りでもあるので普段からカバンの中に入れておいても差し障りはありません。
仕事関係のつきあいのある方に突然の不幸があり、お通夜に駆けつけることになっても数珠さえ持っていれば、平服であっても失礼ではないのです。
一方で、数珠は、分身でもあるので、数珠の貸し借りはあまり良いマナーではありません。できれば自分専用の数珠を持つのがマナーです。
正式には108の珠でできていますが、略式の数珠もあります
正式な数珠は、108の珠で作られています。108には理由があり、除夜の鐘も108回撞きます。
仏教では煩悩の数を108だと規定し、人のあらゆる煩悩を仏様の代わりである108の珠が引き受けてくれるとされてきたのです。
最近は、略式の数珠を持つ人が多いのですが身内や地域によっては宗派ごとに違う本式数珠を持つのも良いでしょう。
宗派が違うと数珠の持ち方も異なり、葬儀の際のお焼香の作法も少しずつ違います。
本式数珠を持つ方は、最小限の知識は持つようにしましょう。
なお、他の宗派の葬儀に、別の宗派の本式数珠をしていくのは、何の問題もありません。
略式数珠は、コンパクトです
略式数珠の場合は、素材の種類も豊富でコンパクトで持ち歩きやすいのが特徴です。
葬儀の合掌の際には、数珠を持つ左手に空いている右手に添えるようにして手を合わせます。
片手念珠とも呼ぶことがあります。
慶事用の数珠もあります。
慶事では「寿珠」「寿寿」とも書き、結婚祝いや、嫁入り道具の一つとしても昔から使われてきました。
社会人になれば、買うのを考えましょう
数珠は、遅くとも社会人になった段階で、購入を考えましょう。
数珠は、男性用と女性用に分かれています。
その上で、略式数珠か、宗派ごとの本式数珠かを決め、最後に値段です。詳しいことは次ページ以降で。